21:54 | 22/06/2019
群れにえさをやるのにどこが一番好きかい?」と男が年とった牛飼いに言いました。「ここですよ、だんな、草が良すぎでも悪すぎでもないところですよ。でないと駄目です。」「どうして駄目なんだ?」と男が尋ねました。「あそこの草原からあの憂鬱な鳴き声が聞こえますか?あれはサンカノゴイですよ。サンカノゴイは昔牛飼いでした。ヤツガシラもそうでした。こんな話ですよ。サンカノゴイは群れを花がたくさん生えている豊かな緑の草原に放しました。それで牛たちは荒々しくて手に負えなくなりました。ヤツガシラは高いやせ地の山に牛を駆り立てました。そこでは風が砂と遊び、牛たちはやせて力が無くなりました。夕方になって牛飼いたちは牛を帰らせようとしましたが、サンカノゴイは二度と牛を集められませんでした。牛たちはあまりに元気がよすぎて逃げてしまったんですよ。サンカノゴイは『来い、牛よ、来い、』とよびましたが、無駄でした。牛は呼び声に全然注意しませんでした。だけど、ヤツガシラは牛たちの脚を立たすことすらできませんでした。とても弱ってしまったんですよ。『立て、立て、立て』とヤツガシラは叫びましたが、無駄でした。牛たちは砂にねたままでした。人がほどほどにやらないときそうなるんです。それで、今日まで、今は監視する群れもないけれどもサンカノゴイは『来い、牛よ、来い』と鳴くし、ヤツガシラは『立て、立て、立て』と鳴くんです。」